創意工夫

 土佐っぽの私は、どうあがいても大阪人にはなれないが、大阪の「粉もの文化」には大いに関心があるし、尊敬の念すら抱いている。学生対象に「讃岐うどん手打ち体験ツアー」を実施した私としては、大阪のうどんは「いただけない」と思っているが、タコ焼きとお好み焼きは絶対に大阪に限る。

 たこ焼きやお好み焼きは食べ物としてはB級品かもしれないが、そこにあれこれ創意工夫を凝らすところが、しょうもないけど実に大阪らしいと思う。お好み焼きでは、スジこんにゃく入りねぎ焼きや(どこがモダンか分からない)モダン焼きは定番に近いが、お好み焼きという名のとおり、考えられるものは何でも入れてしまうところが大阪らしい。タコ焼にしても、タコの代わりにチーズやらコーンやら鶏肉のそぼろを入れたりする。「タコ焼という名前はどうでもいいのか、責任者出て来い!」と、亡き人生幸朗さんみたいにボヤキたくなってしまうくらい面白い。既成の枠組みにとらわれないこうした創意工夫が、案外、大阪の底力なのかもしれない。

 先日、テレビで、走っているだけで自転車のタイヤに空気が自動的に入るという「タイヤ自動空気補充装置エアハブ」というのを見た。大阪府南河内郡の中野鉄工所という会社の製品である。東大阪には有名な「東大阪宇宙開発協同組合」があるが、創意工夫という点ではエアハブのほうがはるかに面白い。タイヤの空気は「空気入れ」で入れるものだという、それまでの「くだらない」常識を見事なまでに打ち砕いてくれたからである。

 このような民間企業の創意工夫と比較したとき、大阪の大学には、ハッとさせられるような創意工夫が見られると自信をもって言えるだろうか。学部や学科のコンセプトや名称ひとつとっても、結構、大阪以外の大学のほうが「エッ、そんなのあり?」というようなコンセプトや名称を考え出したりしている。この点では、大阪の大学は、オーソドックスであると言うこともできるが、後追いばかりしているように見えて仕方がない。学生さんの創意工夫力を大きく育てるような「大阪らしい大学」になるためには、知らず知らずのうちに身に染みついた常識を覆し、既成の枠組みを打ち壊すような、大胆な創意工夫が何よりも必要であると思う。

いろんな制約があるために難しいかもしれないが、タコ焼きやお好み焼きで日々鍛えた創意工夫力を、大阪人の大学人に発揮してもらって、本学を「大阪らしい大学」にしてもらいたいものである。土佐っぽの私は、どうあがいたって大阪人にはなれないのだから。

注記
この原稿は、大学コンソーシアム大阪のマガジン『48大学@OSAKA   VOL.2』 のために書いたものです。まだ発行されていないみたいだけど……。

   前のページに戻る