ライフ・エコノミクスの提唱
A New Orientation for  Life Economics
―― 豊かな生活充実した人生のための経済学を目指して――
              

経済(学)って、なに? 
ケーザイって書くと、ケータイ(携帯電話)に似てるけど、なんかむずかしそう。
面倒くさそうだし、私、数学は苦手だから。
こんな声をよく耳にしますが、ちょっと、待ってください!!
経済学のことを、勝手に決めつけないで下さい!
むずかしそう、面倒くさそう、たしかにそうかもしれません。
でも、最初にそうに思ったら、どんな学問もできません。

おっと、学問なんて書くと、ここで読むのをヤーメタ、
なんて人がいるかもしれないので、言い方を変えましょう。
経済学は結局、私達の生活をもっと楽しく、幸せにするための方法、
豊かで充実した人生をおくるために、知っておくと役に立つこと、
そんな知恵や知識、ものの見方・考え方を整理して寄せ集めたものです。
決して、数学なんかではありません!

どうでしょう。少しは経済学が身近なものに感じられたんではないでしょうか。
そう期待したいところなんですが・・・。
経済学は、もともとすべての人の幸福のために生まれた学問です。
そう、生活と人生をより豊かに、より充実させるためにあるのです。
そのことを明確に意識して経済学を学ぶことも大切ではないかと考えて、
ここに、ライフ・エコノミクスという新しい方法を提唱したわけです。

さて、前置きが長くなりましたので、そろそろ本題に入りましょう!



序章 ライフ・エコノミクスの視点と方法論
――見方・考え方の基本――
§1.視点
 生活と人生を基本に考える。これがライフ・エコノミクスの視点です。経済成長率が何%だ、失業率が5%を超えた、構造改革だ景気回復だ、などと難しそうな話も、結局、それでおれの、私の、お父さんやお母さんの生活がどうなるの、これからどうなるの、私達とどんな関係があるの、そんな疑問に結びつけて考えてみよう、これが、ライフ・エコノミクスの出発点です。


 
§2.方法論
 さまざまな経済問題を、
自分や私達の生活・人生の問題として考えるとしても、何の手段も方法論もなくては、結局、混乱して何もわからずに終わってしますのがおちです。患者を診る医者が聴診器を持つように、戦闘に向かう兵士が銃を持つように、私達も経済問題という相手に立ち向かうとき、それを見るため、考えるため、解決するための有効な手段、強力な武器を身につける必要があります。
  経済学は、結局、楽しく幸せな生活と人生を送るための強力な武器になるわけですが、その前にライフ・エコノミクスの視点からみて、重要と思われる2つの見方、方法論を簡単に見ておきましょう。


 ☆多元論
 普通、経済学を勉強すると、まず消費者という言葉が出てきます。消費者はもちろん人間です。でも経済学に登場する消費者は消費する人間、自分の効用を最大化するように行動する人間として扱われています。それはまるで、自分の利益だけを考えて消費を続ける消費ロボットのようにさえ見えるのではないでしょうか。
  人間はもちろんロボットではありません。食べたり、飲んだりするだけではなく、物を作ったり、家族と一緒に休日を過ごしたり、ボランティア活動をしたり、自治会の活動に参加したり、一人瞑想にふけったりすることもあるかもしれません。人間の生活は基本的に多元的です。人間そのもの、その生活自体を多元的なものとして考えること、これがライフ・エコノミクスの第一の方法論です。
 生活を営む普通の人々も、実は多様な立場や役割を同時に担っている多元的な存在なのです。あなたが学生で、週に3日ほどバイトをしているとしたら、あなたは学生であると同時に、労働者の顔も持っていることになります。コンビニで雑誌を買えば、もちろん消費者でもあり、同時に消費税を納める納税者としての顔も持っていることになります。それだけではなく、日本国籍を持った国民、ある都道府県や市町村に住む地域住民、地球に住む地球市民としての顔も持っています。このような多元的な存在としての生活者を、総合的・多角的な観点から考えること、多様な立場や役割のバランスを考えることが、多元論という視点・方法論の狙いです。

 ☆時間論
 生活・人生とは、毎日毎日の時間の積み重ねです。人の一生でさえ、限られた寿命のなかで流れる時間の経過にほかならないのです。生活や人生を考えることは、実はそうした時間の意味を考えることと同じではないでしょうか。そのわりには、時間とは何か、その意味は?などと真剣に考える人はどのくらいいるのでしょう。そこにライフ・エコノミクスが最も重要と考える思考方法があると考えています。
  時間が希少であること、生活・人生の時間は決して同質的ではないこと、そして時計の針が1秒、1分を刻むように無意味に過去を積み重ねることではないこと、このような時間認識、時間感覚を研ぎ澄ましていくことが、ライフ・エコノミクスの基本的な分析態度であると考えています。
 時間論の狙いは、基本的に2つあります。1つは、時間の希少性に対する認識を持つことです。自分の自由な時間や家族との時間を削って、一生懸命働いて所得を増やしたら、その人は幸せなのでしょうか。一生という限られた時間を主体的に使えない人間が豊かな生活を送れるのでしょうか。誰にとっても、1日は24時間、1年は8760時間、一生80年ならば、約70万時間、この限られた希少な時間を、どのように過ごすことが人間にとって望ましいのか、こうした問題意識を持つことが大切です。
 時間論の2つ目の狙いは、人生を時系列で考える視点を提供する点にあります。時間それ自体には、どの1時間も同じですが、青春時代に友人と過ごした楽しい1時間と、働き蜂になっていた頃の会社での1時間、現役を引退して縁側でお茶をすすっている時の1時間、これらはまったく違った1時間ではないでしょうか。少なくとも、70歳のときの1時間を、20歳のときの1時間と交換することはできません。そんなかけがえのない時間を、人生の流れの中で考え、自分らしい人生、人間らしい生き方とは何かを考えることが、時間論という視点・方法論の狙いなのです。


 次に、以上の視点と方法論を、それぞれ具体的に考えてみましょう。テーマは、次の2つです。
 @ 生活空間・生活時間の多元性を考える⇒(参考:「多様性の価値」
 A 時間を経済学する⇒(参考:「時間と経済」
 さて、どんな展開になるのか、請うご期待、といったところでしょうか。

 現在までの構想では、「成長」、「企業」、「生活」、「制度」、「競争」、「時間」、「環境」、「豊かさ」の8つをキーワードとして構成される予定です。*