書評の書き方

 

 この課題を読書感想文とせず、書評としたのは本の内容を把握しそれをまとめ、その上で本に対する評価を与えたり批評したりしてもらおうと考えたからである。すなわち、読書感想文とすると感じたままを書けばよいと捉えるかもしれない人に、もう少し真剣に本の内容を把握してもらう努力をしてもらおう、というところに意図がある。

 書評に絶対のスタイルがあるというわけではないが、この課題では次の点は最低限記してもらいたいと考えている。

 

 (1) 本の内容の紹介

 (2) 本の内容に対する評価や感想・批評

 

 (1)の本の内容の紹介については、次のようである。まず、本全体がどういうことを扱っているのか、本の意図はどのようなところにあるのか、本の筆者が最もいいたかった点は何か、といった本全体の内容の紹介は必要である。その上で、自分が特に注意して読んだ箇所、自分が面白いと感じた箇所、自分がこの内容は本を語る上で欠かせない点だと感じた箇所、といった細かい点の紹介へと進んでいく。各章に書かれている内容を、すべて要約していく、というスタイルの書評も数多くある。

 

 (2)こうして本の内容を紹介した上で、本の内容に対する自分の評価や感想・批評を記す。本の内容はよかったとか、悪かったとか、面白かったとか、つまらなかったとか、あるいは、この本の内容を支持する、この本の内容に反対する等である。その際、理由をつけることが望ましい。内容がこうだから、この本はよくないと思う。本におけるこういう指摘がすぐれているから、この本を高く評価する。本の内容のこの点は事実と違うので、この本は信頼できない。等といったように、評価や感想・批評が説得的であるのがより良い書評であると思う。

 本の評価や感想・批評は本全体に対して与えるということもあれば、取り上げた箇所ごとや、紹介した章ごとに与えていくということもある。すなわち、書評の冒頭や最後部分で評価や感想・批評が与えられるということもあれば、途中途中でそれらがその都度与えられるというスタイルもある。

 

 なお、本文を引用する場合は「 」でくくり、引用であることをはっきり示す必要がある。もし、書評する本以外の文献や資料を利用した場合は、レポート末にそれらの文献や資料を示しておく。もちろんそれら文献や資料を本文で引用する場合は、やはり「 」でくくり、どこから引用してきたかがわかるように示す必要がある。今までに担当教員が書いた書評を例として以下に掲げておくので、参考にしていただきたい。PDFファイルである。それでは、良い書評になるよう頑張っていただきたい。

 

例1 田中茂範・深谷昌弘著『<意味づけ論>の展開---状況編成・コトバ・会話』(紀伊国屋書店, 1998年)

          に対する書評。『公共選択の研究』第32号, 1999年, pp.78〜81.

 

例2 増島俊之・小林秀徳 共編著『大改革はいかになされたか---意思決定者の着眼』(ぎょうせい, 2001年)

          に対する書評。『公共選択の研究』第39号, 2002年, pp.92〜94.